「169.254」や「100.64」の正体は?実務で遭遇する特殊なIPアドレス一覧【完全保存版】

もっち

  • 関東大手SIer勤務
  • 10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー

以下3点について、ブログで役立つ情報を発信

  1. インフラ技術・システム運用
  2. キャリア・マネジメント
  3. エンジニア実務・仕事術

ネットワークの現場で 169.254.x.x というIPアドレスを見て「あ、DHCPが死んでいるな」と即座に判断できるのは、そのアドレスが持つ「正体」を知っているからです。

しかし、100.64.x.x(シェアードアドレス)や 192.0.0.x(IETFプロトコル代入)といった、少し聞き慣れないIPアドレスに遭遇したとき、自信を持ってその役割を説明できるでしょうか?

今回は、定番のプライベートIPから、知る人ぞ知る特殊用途のIPアドレスまでを一気に整理しました。

この記事の想定読者

  • IPアドレスの全体像を把握したい。
  • IPアドレスにどのような種類があるか知りたい。

この記事を読むことでのメリット

  • IPアドレスの全体像を知ることができる。
  • 特殊なIPアドレスの種類を知ることができる。
目次

IPv4アドレス一覧表

まずは全体像を把握しましょう。アドレス範囲を「開始〜終了」の形式で整理しました。

アドレス範囲名称主な用途・解説
0.0.0.0 〜 0.255.255.255自ネットワーク送信元IPが未確定な場合やデフォルトルートの指定に使用。
10.0.0.0 〜 10.255.255.255プライベートIP (クラスA)大規模LAN用。膨大な数の端末を収容可能。
100.64.0.0 〜 100.127.255.255シェアードアドレスプロバイダ(ISP)内のNAT通信に使用。
127.0.0.0 〜 127.255.255.255ループバック自分自身(localhost)を指すテスト・内部通信用。
169.254.0.0 〜 169.254.255.255リンクローカルDHCP失敗時にOSが自動で割り当てる一時的なIP。
172.16.0.0 〜 172.31.255.255プライベートIP (クラスB)中規模LANやクラウド(VPC)の設計で多用。
192.0.0.0 〜 192.0.0.255IETFプロトコル代入通信プロトコル(DS-Lite等)の内部処理用。
192.0.2.0 〜 192.0.2.255TEST-NET-1ドキュメント・ブログ等の例示専用(1)
192.168.0.0 〜 192.168.255.255プライベートIP (クラスC)家庭用・小規模拠点。最も一般的な範囲。
198.18.0.0 〜 199.19.255.255ベンチマーク用ネットワーク機器の性能測定用。
198.51.100.0 〜 198.51.100.255TEST-NET-2ドキュメント・ブログ等の例示専用(2)
203.0.113.0 〜 203.0.113.255TEST-NET-3ドキュメント・ブログ等の例示専用(3)
224.0.0.0 〜 239.255.255.255マルチキャスト特定のグループへ一斉送信(クラスD)。
240.0.0.0 〜 255.255.255.254予約済み将来の実験用(クラスE)。実務では使用不可。
255.255.255.255ブロードキャスト同一セグメント内への全一斉配信。
上記以外のIPアドレスグローバルIPインターネット上で通信可能な公開アドレス。

各アドレス分類の詳細解説

それぞれの範囲が、実務でどのような意味を持つのか深掘りします。

自ネットワーク(0.0.0.0 〜 0.255.255.255)

主に「何も決まっていない状態」を指します。

  • 実務での登場シーン: PCが起動直後に「誰かIPアドレスをください」とDHCPサーバーにリクエストを送る際、まだ自分のIPがないため送信元を 0.0.0.0 として通信します。また、サーバー設定で「すべてのIPアドレスで待ち受ける」際にも使われます。

プライベートIPアドレス(10.0.0.0 〜 10.255.255.255 / 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 / 192.168.0.0 〜 192.168.0.255)

インターネット上でルーティングされない、組織内専用のアドレスです。

  • 10.x.x.x (クラスA): データセンターや大規模なAWS VPC設計などで定番です。
  • 172.16.x.x (クラスB): 中規模拠点や、拠点間VPNを組む際の切り分けに便利です。
  • 192.168.x.x (クラスC): 家庭用ルーターの初期値などで最も普及しています。

シェアードアドレス(100.64.0.0 〜 100.127.255.255)

キャリアグレードNAT(CGN)用です。

  • 注意点: インターネット回線の契約で、自分のルーターのWAN側IPがこの範囲になっている場合、外部から自宅のNAS等にアクセス(ポート開放)できないケースが多いので注意が必要です。

ループバック(127.0.0.0 〜 127.255.255.255)

「自分自身」を指す特殊な番地です。

  • 実務での登場シーン: ping 127.0.0.1 を実行して応答があれば、そのPCのネットワーク機能(TCP/IPスタック)自体は正常に動作していると判断できます。物理ポートの故障か、OSの設定不良かを切り分けるのに役立ちます。

リンクローカル(169.254.0.0 〜 169.254.255.255)

DHCPサーバーからIPがもらえなかったとき、OSが「仕方なく勝手に名乗る」IPです。

  • インフラあるある: ipconfig を叩いてこのアドレスが表示されたら、即座に「LANケーブルの断線」や「DHCPサーバーのダウン」を疑うべき、障害の合図です。

TEST-NET(192.0.2.0 〜 192.0.2.255 / 198.51.100.0 〜 198.51.100.255 / 203.0.113.0 〜 203.0.113.255)

エンジニアの「お作法」として最も重要な範囲です。

  • 解説: ブログや構成図で「例えばIPアドレスが 203.0.113.10 だとしたら…」と説明するために予約されています。実在のグローバルIPや、誰かの家のプライベートIPを例に出さないための配慮です。

IETFプロトコル代入 / ベンチマーク用(192.0.0.0 〜 192.0.0.255 / 198.18.0.0 〜 198.19.255.255)

これらは機器の内部処理や性能試験のために予約されています。

  • DS-Lite: 日本の光回線で使われるIPv4 over IPv6通信では、ルーター内部で 192.0.0.1 などのアドレスが自動的に使われ、カプセル化処理が行われることがあります。

マルチキャスト(224.0.0.0 〜 239.255.255.255)

「一対多」の通信に使われます。

  • 実務での登場シーン: ルーター同士が経路情報を交換するプロトコル(OSPFやRIP)や、ネットワーク上の動画配信などで、特定のグループに所属する端末だけに効率よくデータを送るために使われます。

予約済み・クラスE(240.0.0.0 〜 255.255.255.254)

広大な範囲ですが、実質的には使われません。

  • 解説: IPv4策定当初に「将来のために取っておいた」場所ですが、今やどのOSやルーターも「このアドレスは不正」とみなして通信を捨ててしまうため、活用は絶望的です。

リミテッド・ブロードキャスト(255.255.255.255)

「同じネットワークの全員、聞いてくれ!」という叫び声です。

  • 解説: この宛先にデータを送ると、同一セグメントの全端末に届きます。ただし、ルーターがこのパケットを外へ通すことはありません。

まとめ:IPアドレスの「お作法」を知ればネットワークはもっと面白い

今回紹介したIPアドレスたちは、いわばネットワークの世界の「裏方」です。

表舞台のグローバルIPやプライベートIPだけでなく、これら特殊なIPアドレスの役割を知ることで、トラブル時の初動が格段に早くなります。ブログや設計書でも、ぜひ正しい「お作法」でこれらのIPアドレスを活用してみてください。

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