【初心者向け】RAID 0, 1, 5, 10の違いと現場での選び方:コスト・性能を徹底比較

もっち

  • 関東大手SIer勤務
  • 10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー

以下3点について、ブログで役立つ情報を発信

  1. インフラ技術・システム運用
  2. キャリア・マネジメント
  3. エンジニア実務・仕事術

サーバー構築の現場に立つと、必ず直面するのがディスク構成の壁です。教科書でRAIDの種類を覚えても、実際の案件でどのストレージ構成を選べばいいのかという判断は、運用リスクやコストを理解していないと難しいものです。

この記事では、初心者エンジニア向けにストレージの冗長化技術であるRAIDの基礎から立ち返り、現場で頻用されるRAID 0, 1, 5, 10について、仕組みだけでなく運用上の現実的なメリット・デメリットを深く掘り下げて解説します。

この記事の想定読者

  • RAID構成(0, 1, 5, 10)の仕組みと違いを具体的に知りたい
  • 現場のサーバー構築で、どの構成を選ぶべきか判断基準を知りたい

この記事を読むことでのメリット

  • サーバーの用途(OS用・DB用など)に合わせた最適なRAID構成を自分で選べるようになる
  • ホットスワップやスペアディスクなど、実務に直結するストレージの基礎知識が身につく
目次

そもそもRAIDとは?サーバーの信頼性を支えるストレージ冗長化の基礎

サーバーは24時間365日稼働し続けることが求められます。しかし、データを保存するHDDやSSDといったストレージデバイスは消耗品であり、いつか必ず故障します。

1台壊れても止まらないシステムを作る「保険」の仕組み

もし、ディスクが1台しかないサーバーでそのディスクが故障したら、システムは停止し、データは全て失われてしまいます。これは業務システムにおいて許されません。

そこで登場するのが RAID (Redundant Array of Independent Disks) です。

RAIDとは、複数のディスクを束ねて、あたかも1つの巨大で高性能、あるいは頑丈なストレージのように見せる技術のことです。

RAIDの2大目的:耐障害性の向上とパフォーマンスの高速化

複数のディスクを組み合わせることで、主に以下の2つの目的を実現します。

  1. 耐障害性の向上(冗長化):1台のディスクが故障しても、他のディスクがカバーしてシステムを稼働し続けられるようにする。保険をかけるイメージです。
  2. パフォーマンスの向上(高速化):データの読み書きを複数のディスクに分散させることで、1台では実現できない速度を出す。分業させるイメージです。

この保険と分業のさせ方の違いによって、RAIDにはいくつかのレベル(種類)が存在します。

現場で使われる「現実的な」RAID構成 4選を徹底解説

ここからは、実務で頻繁に選択される4つの構成(0, 1, 5, 10)について、それぞれの仕組みと、なぜ現場で選ばれるのかを丁寧に解説します。

RAID 0(ストライピング):速度特化、ただし耐障害性はゼロ

  • 仕組み:RAID 0は、データを一定のサイズ(ブロック)に分割し、複数のディスクに同時に並行して書き込みます。これをストライピングと呼びます。最低2台のディスクが必要です。
  • 運用上のメリット:読み書き共に非常に高速です。ディスクの台数分だけ速度が向上するイメージです。また、ディスク容量を100%フルに活用できます。
  • 運用上のデメリット(脆弱性):耐障害性が全くありません。構成するディスクが1台でも故障すると、データは分散して記録されているため、全てのデータが復旧不可能になります。
  • 現場での現実的な使い所:サーバーのメインストレージとして使われることはまずありません。一時的な作業用ファイル置き場(スクラッチ領域)など、消えても業務に支障がないデータ領域に限定されます。

RAID 1(ミラーリング):OSインストール領域の鉄板構成

  • 仕組み:RAID 1は、2台のディスクに全く同じデータを同時に書き込みます。鏡に映すようにデータを複製するためミラーリングと呼ばれます。
  • 運用上のメリット:非常にシンプルで信頼性が高いのが特徴です。片方のディスクが故障しても、もう片方が生きている限り、何事もなかったかのようにシステムは稼働し続けます。
  • 運用上のデメリット:2台のディスクを使っても、実際にデータ保存に使える容量は1台分(50%)だけです。コストパフォーマンスは悪いです。
  • 現場での現実的な使い所:サーバーのOS(WindowsやLinux)をインストールする領域として、最も標準的に採用されます。OSが起動しなくなるとサーバー全体が停止するため、信頼性が最優先されます。

RAID 5(パリティ分散):容量効率と安全性のバランス型

  • 仕組み:RAID 5は、データ本体と同時に、障害発生時にデータを復元するためのパリティと呼ばれる誤り訂正符号を生成し、それらを3台以上のディスクに分散して記録します。
  • 運用上のメリット:メリット(効率性):ディスクが1台故障しても耐えられます。RAID 1と比較して、ディスク容量を効率よく使えます。
  • 運用上のデメリット:データを書き込む度にパリティを計算する必要があるため、書き込み速度が低下します。リビルド死のリスク:ディスクが故障した後の復旧作業(リビルド)中に残ったディスクが高負荷になり、もう1台が壊れて全データが失われるリスクが、大容量HDDの普及により近年懸念されています。
  • 現場での現実的な使い所:ファイルサーバーなどでよく使われます。読み取り中心で、コストを抑えて大容量を確保したい場合に選択肢に入ります。

RAID 10(ミラー+ストライプ):性能も妥協しないDBサーバーの最適解

  • 仕組み:RAID 10は、RAID 1(ミラーリング)とRAID 0(ストライピング)を組み合わせた構成です。最低4台のディスクが必要です。まず2台ずつペアにしてRAID 1を作成し、そのミラーペアをRAID 0で繋ぎます。
  • 運用上のメリット:RAID 1の高い信頼性と、RAID 0の高速性を両立できます。1台故障しても稼働継続可能で、リビルド時の負荷もRAID 5より軽く済みます。
  • 運用上のデメリット:多くのディスクが必要で、利用できる容量は合計の50%です。
  • 現場での現実的な使い所:速度と信頼性の両方が極めて重要になるデータベースサーバーのデータ領域として、第一候補になる構成です。

ひと目でわかる!RAIDレベル比較まとめ表(速度・容量・コスト)

RAIDレベル読み込み速度書き込み速度冗長性(故障許容)容量効率導入コスト
RAID 0◎ 極めて速い◎ 極めて速い× なし100%◎ 安い
RAID 1○ 普通△ 1台分○ 1台まで50%○ 比較的安い
RAID 5◎ 速い△ 低速○ 1台まで高い ($N-1$)△ 普通
RAID 10◎ 極めて速い◎ 速い◎ 最大2台50%× 高い

読み書き速度と冗長性のトレードオフ

速度を求めれば冗長性が減り、冗長性を高めようとすれば書き込み速度やコストに影響が出ます。このバランスを考えるのが設計の醍醐味です。

運用の現場で必須の知識:ホットスワップとスペアディスク

RAIDを組んで終わりではありません。実際に障害が発生した時にどう動くかが重要です。

サーバーを止めずにディスクを交換する「ホットスワップ」

サーバーの電源を入れたまま、故障したディスクを抜き取り、新しいディスクを挿入できる機能です。24時間稼働のシステムでは、業務を止めずに修理するために必須の要件です。

障害時に自動復旧を開始する「ホットスペア(スペアディスク)」

予備としてサーバーに接続して待機させておくディスクのことです。RAID構成内のディスクが故障すると、コントローラーが自動的にこの待機ディスクを組み込んで復旧(リビルド)を開始します。エンジニアが現場に駆けつける前でも自動で復旧が進むため、非常に安全です。

意外と高い?RAID導入コストと筐体選定の注意点

初期費用を考える際、ディスク代金以外にも考慮すべき点があります。

ディスク枚数だけじゃない、RAIDカードやスロット数のコスト

RAID 10やRAID 5を高速に動作させるには、専用のRAIDコントローラー(物理カード)が必要です。また、多くのディスクを挿すためには、それに対応した大型のサーバー筐体が必要になり、全体のコストを押し上げます。

予算別のおすすめ構成パターン

  • 予算重視:OS領域をRAID 1、データ領域をRAID 5にするミックス構成。
  • 性能重視:全領域をRAID 10で固め、高性能なRAIDコントローラーを採用。

まとめ:もう構成選びで迷わない!目的別の最適解

  • OSを入れるなら:RAID 1
  • データベースなら:RAID 10
  • 大容量データなら:RAID 5(ただしバックアップはより厳重に)

【鉄則】RAIDはバックアップではないことを忘れずに

RAIDはあくまでディスクの「物理故障」に備えるものです。操作ミスによるデータ削除やウイルス感染には無力です。RAIDを過信せず、必ず別の場所へ定期的にバックアップを取得しましょう。

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