システム設計書の読み方完全ガイド|新人インフラエンジニアが最短で全体像を掴む4ステップ

もっち

  • 関東大手SIer勤務
  • 10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー

以下3点について、ブログで役立つ情報を発信

  1. インフラ技術・システム運用
  2. キャリア・マネジメント
  3. エンジニア実務・仕事術

配属初日に手渡される、鈍器のような厚さのPDFファイルや、無数に並んだExcelシート。

「とりあえず今の作業に関係がありそうなパラメータシートから見よう」

その気持ち、痛いほど分かります。しかし、その読み方は「最も効率が悪く、かつ一生役に立たない」読み方かもしれません。

今回は、インフラ運用エンジニアとして「現場で本当に使える知識」を最短で身につけるための、システム設計書の攻略法を伝授します。

この記事の想定読者

  • 設計書の読み方を学びたい
  • はじめて設計書を確認する際に必要な要点を知りたい。

この記事を読むことでのメリット

  • はじめて設計書を読む際のポイント、読み方を理解できる

そもそも「設計書に何が書かれているべきか」という全体像を知りたい方は、先にこちらの記事をチェックしてみてください。

目次

なぜ「パラメータシート」から読んではいけないのか?

多くの新人が、IPアドレスやホスト名が羅列された詳細設計書(パラメータシート)に真っ先に飛び込みます。しかし、ここには運用現場ならではの「大きな罠」が2つあります。

情報は「腐る」が、思想は「腐らない」

現場のパラメータシートは、往々にして更新が漏れています。「設計書にはAと書いてあるが、実機はBになっている」というのは、残念ながら珍しくありません。対して、「なぜこのシステムをこう作ったか」という設計思想や統一方針は、一度決まれば運用フェーズで変わることは滅多にありません。

「点」の知識は応用が効かない

「IPアドレスが192.168.1.10である」という知識は、その現場を離れればゴミになります。しかし、「なぜこのセグメントに配置し、どういう方針で採番したか」というルールを知れば、他のどんな現場でも通用する一生モノのスキルになります。

攻略の黄金ルート:全体から細部、論理から物理へ

設計書を1ページ目から読む必要はありません。以下の4ステップで、効率的に解像度を上げていきましょう。

ステップ1:システムの「外枠」と「規模感」を掴む

まずは対象のシステム全体を俯瞰します。

  • プラットフォーム: クラウド(AWS/Azure等)か、オンプレミスか、その併用か。
  • 環境構成: 本番、開発、検証、DR(災害復旧)環境がどう分かれているか。
  • 規模感: サーバーは何台あるか。ストレージの容量は。ここを確認するだけで、「このシステムがどれくらい複雑か」という肌感覚が手に入ります。

ステップ2:「データの通り道」を把握する(論理構成)

システムの概要を掴んだら、次に、システムの中を流れるデータにフォーカスします。ユーザは最初にどのサーバへアクセスするのか。そのサーバはどこのデータを参照するのか。データや処理の流れを追うことで、システムの処理フローの全体像を把握することができます。

  • エンドポイント: ユーザーの入り口はどこで、データはどこに保存されるか。
  • 通信フロー: FW(ファイアウォール)やLB(ロードバランサー)をどう通過するか。
  • 急所の把握: 「ここが壊れたらサービスが止まる」という単一障害点(SPOF)を見定めます。

ステップ3:レイヤーを「上から下へ」降りる

インフラエンジニアこそ、実は「アプリケーション」から順に読み解くべきなのです。

システムの価値はアプリケーションが提供します。そして、アプリケーションの処理はインフラが提供し、インフラの実態は物理(クラウド)が提供します。

そのため、まずはアプリケーションに着目し、インフラ、物理(クラウド)構成へと、視点を移動させ、それぞれのレベルごとに全体像を改めて把握します。

  1. アプリケーション: 何を実現するためのシステムか。
  2. ミドルウェア: Web、DB、キューなど、何を動かしているか。
  3. OS: リソース(CPU/メモリ)の割り当て方針は。
  4. ハードウェア: どのラックに配置され、どの物理ポートに刺さっているか。「何を支えるためのインフラなのか」を理解することで、設定値の重要度が変わって見えてきます。

ステップ4:詳細パラメータは最後にさっと目を通す

ようやく最後に詳細パラメータを確認します。ただし、このパラメータは、必要になった場合に詳細に確認すれば良く、最初に設計書を手にする際は、さっと一通りパラメータに目を通す程度で問題ありません。

インフラ運用の生命線「非機能要件」を狙い撃て!

運用のプロは、設計書の「非機能要件」を特に入念に確認します。ここには「どう動かし続けるか」という、運用のエッセンスが詰まっているからです。

項目運用担当者がチェックすべき理由
可用性(Availability)故障時にどう自動切り替え(フェイルオーバー)するかを知るため。
運用・保守性(Maintainability)監視のしきい値や、バックアップの戻し方(リカバリ手順)を知るため。
セキュリティ(Security)誰が、どの踏み台サーバーから、どの権限で作業できるかを知るため。
性能・拡張性(Performance)アクセス急増時に、どうやってリソースを増設できるかを知るため。

特に「監視方針」と「バックアップ方針」、「冗長化方針」は、トラブル時にあなたの身を守る盾になります。真っ先に確認しましょう。

バックアップの基礎を知りたいからは以下の記事も確認してみてください。

まとめ:設計書は「答え」ではなく「意図」を拾うもの

設計書は、単なる設定値のメモ帳ではありません。「設計者が何を考えて、そのシステムを構築したか」という意図が詰まった地図です。

  1. パラメータという「点」に飛びつかない。
  2. 設計思想・統一方針という「線」をまず引く。
  3. 非機能要件という「面」で、守り方を理解する。

この読み方を意識するだけで、半年後のあなたは「ただ値を調べる人」ではなく、「システム全体の挙動を予測し、障害にも冷静に対処できるエンジニア」へと成長しているはずです。

まずは今日、あなたの手元にある設計書の「目次」を開いて、「バックアップ方針」や「冗長化方針」のページをじっくり読んでみてください。そのシステムの「作り手の意図」が、少しだけ見えてくるはずです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

もっちのアバター もっち インフラエンジニア/サービスマネージャ

・関東大手SIer勤務
・10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー

以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
1.インフラ技術・システム運用
2.キャリア・マネジメント
3.エンジニア実務・仕事術

目次