
もっち
- 関東大手SIer勤務
- 10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー
以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
- インフラ技術・システム運用
- キャリア・マネジメント
- エンジニア実務・仕事術


もっち
以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
「IaC(Infrastructure as Code)」という言葉が普及して久しいですが、その本質を単なる「自動化ツール」だと思っていませんか?
実務で3〜5年目を迎え、そろそろ現場のリーダーを意識し始めるエンジニアにとって、IaCは単なる便利道具ではありません。それは、私たちが長年苦しめられてきた「腐るドキュメント」からの解放であり、インフラをソフトウェアとして再定義する「思考の革命」です。
今回は、IaCの正体である「動く設計書」という考え方と、手動運用を卒業するための現実的なステップについてお話しします。
この記事の想定読者
この記事を読むことでのメリット
インフラエンジニアの多くは、ExcelやWordで書かれた膨大な「設計書」や「パラメータシート」に囲まれて仕事をしています。しかし、それらのドキュメントは作成された瞬間から「死」に向かい始めます。
現場でよくあるのは、ドキュメントの更新が漏れ、実機の設定値と乖離してしまう現象です。 「設計書にはメモリ16GBとあるが、実際は8GBだった」 「設定値が信用できないから、結局、毎回ログインして実機を確認する」 これでは、設計書の存在意義がありません。
かつて、設計書のサーバリソース表に記載されたメモリ容量をもとに、アプリケーションのパフォーマンスチューニングを行ったことがあります。しかし、実際のリソースは設計書よりも少なく、本番稼働後にメモリが枯渇しかけ、システム停止寸前の大障害になりかけました。
「紙(ドキュメント)」と「現実(実機)」の不一致は、単なる手抜きではなく、インフラの安定性を根本から揺るがすリスクなのです。
IaCとは、その名の通り「インフラ構成をコードで記述し、管理する」手法です。特定のツールを指す言葉ではなく、「インフラの状態をテキストデータとして定義し、ソフトウェアと同じプロセスで扱う」という概念を指します。
IaCにおけるコードは、単なるスクリプトではありません。それ自体が最新の設計図です。 コードを実行すれば、記述された通りのインフラが出来上がる。逆に言えば、「コードに書かれていない設定は存在しない」という状態を作ることができます。これが「動く設計書」と呼ばれる所以です。
大規模なシステムを運用している場合、すべての設計書をいきなりコードに置き換えるのは、エベレストに軽装で挑むようなものです。中途半端に手を出すと、メンテナンスされない「謎のコード」と「古い設計書」が二重に残り、現場をさらに混乱させます。
若手エンジニアがチームでIaCを推進するなら、以下のステップを推奨します。
最初からサーバの構成管理(状態管理)をコード化しようとせず、まずは「手順書」をコード化(自動化)することから始めましょう。
障害発生時に実施する「特定のプロセスの再起動」や「フラグファイルの削除」など、OSやアプリのパラメータに影響を与えない手順をコード化します。これにより、緊急時の人為的なミスを排除でき、運用の安定感が劇的に向上します。
IaCを徹底することで得られる最大のメリットは、作業時間の短縮だけではありません。
運用の安定感は、どれだけ「コード化を徹底し、手作業の不確実性を排除できるか」で決まるのです。
3〜5年目の皆さんがIaCをマスターすることは、市場価値を飛躍的に高めることに直結します。
クラウドの世界では、数千台のサーバを数分で展開することが求められます。手作業では不可能な規模も、IaCを駆使すれば、少ない工数で正確にコントロールできます。これは「大規模システムを一人で動かせる」という強力な武器になります。
IaCを学ぶ過程で、バージョン管理(Git)、コードレビュー、CI/CD(継続的インテグレーション/デリバリ)といったソフトウェア開発の手法が身につきます。これからのインフラエンジニアは、物理的な知識だけでなく、開発の作法をインフラに適用できる「エンジニアリング能力」が求められる時代です。
手動運用を卒業し、インフラをコードで語れるようになることは、自分自身を深夜の緊急コールや、古い設計書との格闘から救い出すことに他なりません。
まずは、目の前の「繰り返し発生する手順」をコードに落とし込むことから始めてみてください。その一行のコードが、将来の大規模インフラを支える礎となり、あなたのエンジニアとしての視座を一段高くしてくれるはずです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!







