
もっち
- 関東大手SIer勤務
- 10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー
以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
- インフラ技術・システム運用
- キャリア・マネジメント
- エンジニア実務・仕事術


もっち
以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
「さっき自分で書いたメモなのに、読み返すと意味がわからない……」
障害対応の真っ只中や、複雑な設計の打ち合わせ中。とりあえずメモ帳に書き殴ったものの、後で見返して頭を抱えた経験はありませんか?
インフラエンジニアの仕事は、常に情報の洪水です。サーバー200台規模の運用リーダーとして18年現場に立ってきた私が痛感しているのは、「思考の整理ができないと、システムの整理もできない」という厳しい現実です。
しかし、特別なツールは必要ありません。
私たちが普段から慣れ親しんでいる「黒い画面」と同じように、テキストだけで思考を劇的に構造化できる最強の武器があります。それがMarkdown(マークダウン)記法です。
今回は、巷に溢れる「おしゃれな書き方」としてのMarkdownではなく、「ぐちゃぐちゃの脳内を整理し、一瞬で伝わる文書に変えるための思考術」として、私が現場で厳選して使っている最小限のテクニックをお伝えします。
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箇条書きは便利ですが、ただ並べるだけでは「情報の重み」や「関係性」が消えてしまいます。整理されていないメモには、主に3つの「思考のバグ」が潜んでいます。
例えば、以下のつながりが曖昧な箇条書きのメモを見てみましょう。
- ネットワークの遅延が発生
- スイッチのログを確認
- バックアップジョブが走っていた
- 再起動を検討
「遅延したからログを見た」のか、「遅延とログ確認が同時に起きた」のかが不明。 このメモでは、「バックアップジョブ」が遅延の直接の原因なのか、それとも単にたまたま動いていた別事象なのかが分かりません。因果関係が繋がっていないと、後から見返したときに「なぜ再起動を検討したんだっけ?」と、自分の判断根拠を疑うことになります。
「ネットワークの遅延」という大きな事象と、「バックアップジョブ」という詳細な要素が同じレベルで並んでいる。 「ネットワーク全体に影響が出るトラブル(大項目)」と、「特定のジョブが動いている(小項目)」が同じ「・」で並ぶと、脳は情報の重要度を正しく判断できません。本来、バックアップジョブは遅延という大きな事象の中に含まれる「調査結果の一つ」であるべきです。
「再起動を検討」で止まっており、その先が「検討済み」なのか「検討忘れ」なのかが不明。 メモがここで終わっていると、次に何をするべきかが分かりません。検討した結果「今はやらない」と決めたのか、それとも「誰かの承認待ち」なのか。この「空白」があるせいで、次にメモを開いた時にまた同じことを悩み直すという時間のロスが発生します。
これらを解決し、脳の外に「論理の骨組み」を作るのが構造化です。
Markdownには多くの機能がありますが、思考を整理するだけなら以下の5つを使い分けるだけで十分です。記法を「装飾」ではなく「論理のパーツ」として捉えるのがポイントです。
| 記法 | 書き方 | 思考を構造化する役割 |
| 見出し | # タイトル | 境界線: 思考の「箱」を決め、テーマを固定する |
| 箇条書き | - 項目 | 分解: 複雑な事象を最小単位にバラバラにする |
| インデント | (Tab) - 項目 | 関係定義: 因果関係・親子関係(詳細)を視覚化する |
| 強調 | **重要** | 焦点: 膨大なメモの中から「結論」を浮き彫りにする |
| タスク | - [ ] タスク | 状態管理: 検討が済んだか未着手か、漏れを防ぐ |
特に重要なのが、見出しとインデントです。
#)で「視点」を固定する「今、何を考えているか」のタイトルです。これを作ることで、関係ない情報が混じったときに「あ、今は別のことを考えているな」と即座に気づけます。Tab)で「関係」を定義するこれこそが構造化のキモです。
私が実際にトラブル対応のメモを取る時の流れを例に見てみましょう。
Markdown記法による整理
# ネットワーク遅延の調査
## 現象と原因の推測
- ネットワーク遅延が発生(10:00〜)
- [原因] バックアップジョブの重複
- スイッチの帯域を圧迫していることをログで確認
## 対応案
- [ ] ジョブの強制停止(影響確認中)
- [ ] スイッチの再起動
- **注意:** 再起動は最終手段。まずは設定変更で対応。
このように書くだけで、「バックアップが原因で遅延が起きた」という因果関係と、「再起動は検討中である」という状況がひと目で分かります。構造化すると、「影響確認を忘れているな」という漏れにも自分で気づけるようになります。
Markdownは、専用のソフトがなくても、メモ帳やメールの下書きなど、どんなエディタでも書ける「ただのテキスト」です。
大切なのは、特定のツールを使いこなすことではなく、「自分の思考を構造化する型」を身につけること。
私は今でも、大きな設計やトラブル対応に挑むときは、まずこの書き方でA4一枚分のロジックを固めることから始めています。
システムを構築するように、あなたの思考を構築してみてください。きっと、今まで見えていなかった「情報の繋がり」が見えてくるはずです。
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