
もっち
- 関東大手SIer勤務
- 10システム、仮想サーバ約200台の基幹系システムが稼働する仮想化基盤のインフラ運用リーダー
以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
- インフラ技術・システム運用
- キャリア・マネジメント
- エンジニア実務・仕事術


もっち
以下3点について、ブログで役立つ情報を発信
ふと気づくと、電車のドアが閉まる音。
「また、やってしまった……」
仕事で疲れ果てた帰り道、降りるべき駅を通り過ぎて終点まで行ってしまう。そんな経験はありませんか?
これは単なる「うっかり」ではありません。あなたの脳が「これ以上は限界だ」と送っている、切実なサインです。特に、技術の習得に必死な20代のエンジニアや、家庭とチームの両方を背負うマネージャー層にとって、睡眠不足は「隠れた負債」となって、私たちの人生を少しずつ、確実に侵食していきます。
今回は、睡眠がなぜそれほどまでに重要なのかを論理的に解き明かしつつ、多忙な日々の中でも「これだけは守りたい」睡眠の質を高めるヒントをお伝えします。
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エンジニアの皆さんに馴染みのある言葉で例えるなら、睡眠は脳にとっての「不要なメモリの解放」や、「バッチ処理」を行うメンテナンス時間です。
私たちの脳は、起きている間に膨大な情報を処理しています。新しい技術スタックの習得、チームの進捗管理、子供の明日の準備など。これらの活動によって、脳内には「アミロイドβ」などの老廃物、いわゆる「脳のゴミ」が蓄積していきます。
睡眠中、脳内では「グリンパティック系」という洗浄システムが稼働し、このゴミをきれいに洗い流してくれます。もし睡眠を削れば、脳内は「メモリリーク」を起こしたサーバーのように重くなり、やがて思考停止やメンタル不調を引き起こします。
また、睡眠は情報の「インデックス生成」の時間でもあります。日中に学んだ知識や経験を整理し、必要な時に取り出せる長期記憶として定着させる作業は、眠っている間にしか行われません。「寝る間を惜しんで勉強する」よりも「学んだ後にしっかり眠る」方が、学習効率が圧倒的に高いことは、科学的にも証明されています。
「自分は6時間寝ているから大丈夫」と思っている方は多いかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
多くの研究が、「6時間睡眠を2週間続けると、2晩徹夜したのと同等の認知能力まで低下する」という衝撃的な事実を示しています。恐ろしいのは、この状態に陥っている本人には「自分は大丈夫だ」という強い主観的な思い込みがあることです。
睡眠不足が続くと、具体的にどのようなリスクが生じるのでしょうか。仕事のパフォーマンスから長期的な健康まで、その影響は多岐にわたります。
睡眠不足は、単に「眠い」だけの問題ではありません。以下のようなリスクが、自覚症状がないまま進行していくのです。
| カテゴリ | 具体的なリスク・症状 | 仕事・生活への影響例 |
| 仕事のパフォーマンス | 集中力・注意力の低下 | コードのバグ、メールの誤送信、会議の内容が頭に入らないといったケアレスミスが多発する。 |
| 判断力・論理思考の鈍化 | 誤った意思決定をしてしまう。トラブルシューティングに時間がかかり、問題解決能力が落ちる。 | |
| 記憶力の定着不全 | 新しく学んだ技術が覚えられない。昨日のタスクや約束を忘れてしまう。 | |
| メンタル・感情 | 感情制御機能の低下 | イライラしやすくなり、部下や家族に強く当たってしまう。感情のブレーキが効かなくなる。 |
| 意欲減退・燃え尽き | やる気が出ない、仕事への情熱が持てなくなる。「燃え尽き症候群」の入り口に立つリスク。 | |
| 身体・長期リスク | 免疫力の低下 | 風邪を引きやすくなる。体調不良が長引き、休日のたびに寝込んでしまう。 |
| 脳の老廃物蓄積 | 脳のゴミが十分に洗浄されず蓄積する。これは将来的な認知症リスクとの関連も指摘されている。 |
若手であれば、これらのリスクは成長の機会を逃すことにつながり、マネージャーであれば、たった一つの判断ミスがチーム全体を危機に晒すことになります。睡眠不足で重要な仕事をこなすのは、いわば「泥酔状態で精密機械を操作している」のと変わらない危険性を孕んでいるのです。
理屈ではわかっていても、現実は過酷です。
障害対応で深夜までモニターと向き合わなければならない夜もあります。また、子供が夜泣きをして、ようやく寝かしつけた頃には、時計はもう深夜2時を指しており、そこから「自分だけの時間」を求めて、ついSNSや動画を見て夜更かしをしてしまう・・・。
そんな自分を「意思が弱い」と責めないでください。あなたは毎日、本当によく頑張っています。責任感が強く、周りのために自分を後回しにしてきた結果として、今の睡眠不足があるはずです。
だからこそ、完璧を目指す必要はありません。「毎日8時間寝なければならない」という強迫観念は、逆にプレッシャーとなって睡眠の質を下げてしまいます。大切なのは、時間の「長さ」に絶望するのではなく、今取れる時間の中で「質」を最大化することです。
睡眠の質を上げるために、難しい理論は不要です。まずは自分の感覚を「オフ」にするための、優しい仕組みを導入しましょう。
深い眠りにつくための鍵は、体の内部の温度である「深部体温」にあります。人は、一度上がった深部体温が急激に下がっていく時に、強い眠気を感じるようにできています。
多忙な時ほどシャワーで済ませがちですが、お気に入りの入浴剤を入れて、10分でも15分でも湯船に浸かってみてください。入浴剤の香りは「今からリラックスタイムだよ」という脳への切り替えスイッチになります。お風呂上がりの約90分後、体温が下がってきたタイミングで布団に入れば、驚くほどスムーズに入眠できるはずです。
布団に入っても、昼間の会議での発言や、明日への不安が頭をよぎってしまうこともあるでしょう。そんな時は、思考を遮断するために「音楽」を味方につけてください。
雨の音、川のせせらぎ、あるいはテンポの遅い環境音楽。歌詞のない音楽は、ぐるぐると回る思考をストップさせ、脳の「アイドリング状態」を鎮めてくれます。スマートフォンのタイマー機能を使って、30分程度で消えるように設定しておけば、いつの間にか深い眠りの海へと運んでくれるでしょう。
かつての私も、駅を乗り越しては終点のホームで「自分は何をやっているんだろう」と途方に暮れていました。でも、ある時気づいたのです。睡眠を削って無理やり生み出した1時間は、翌日の3時間の生産性を奪っていることに。
睡眠は、決してサボりではありません。
上記のリスク表を、脅しではなく「自分を守るためのチェックリスト」として使ってください。今日、この記事を読み終えたら、いつもより少しだけ早くパソコンを閉じましょう。
明日のあなたが、最高のパフォーマンスを発揮できるように。そして何より、あなたがあなたらしく笑っていられるように。今夜は、自分を労って、ゆっくりとおやすみなさい。
睡眠によって体の調子を整えたら、明日からまた仕事に前向きな気持ちになれると思います。次は、私「もっち」の職業であるインフラエンジニアについてどのような仕事なのか見てみませんか。興味のある方は、以下の記事もチェックしてみてください。

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