
もっち
大手SIerに18年勤務。オンプレ・クラウド計200台規模の大規模インフラ(10システム)を統括する現役のサービスマネージャーです。
システム運用・インフラ技術、マインドセット、キャリア戦略など、現場で役立つ情報を若手エンジニアへ向けて発信中。


もっち
大手SIerに18年勤務。オンプレ・クラウド計200台規模の大規模インフラ(10システム)を統括する現役のサービスマネージャーです。
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ストレージ(SSDやHDD)をOSで利用できるようにする際、最初に行うのが「パーティション分割」です。パーティションの管理規格には「MBR」と「GPT」があり、それらを制御するPC의 ファームウェア規格である「BIOS」と「UEFI」と深く結びついています。Windows 11の導入要件やLinuxのマルチブート環境の構築など、実務や自作PCの現場でこれらの組み合わせに頭を悩ませた経験のある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、表面的なフォーマットの手順に留まらず、それぞれの規格の内部仕様、データ構造、そして近代OSが求めるブートアーキテクチャの必然性について、中級者向けに深く掘り下げて解説します。
ストレージの内部を区切って作られた独立した領域を「パーティション」と呼びます。MBR規格においては、パーティションは以下の3種類に分類され、階層構造を持っています。
MBR(Master Boot Record)は古くから使われている規格ですが、現代の大容量ストレージにおいては物理的な制限があります。
MBR領域(512バイト)内のパーティションテーブル(64バイト)は、1エントリあたり16バイトと定義されています。$64 \text{バイト} \div 16 \text{バイト} = 4 \text{エントリ}$ となるため、プライマリパーティションは最大4つまでしか定義できません。
MBRはセクター位置(LBA)を32ビットの整数で管理しています。標準的な512バイトセクターを掛け合わせると、管理限界容量は以下の計算通り約2TiB(2.2TB)となります。
$$2^{32} \times 512 \text{ bytes} = 2,199,023,255,552 \text{ bytes} \approx 2 \text{ TiB}$$
このため、3TB以上のストレージを接続しても、2TBを超える領域は認識されず無駄になります。
4つ以上の領域に分割する場合、1つを「拡張パーティション」とし、内部に複数の「論理パーティション」を作成します。論理パーティションは、各領域の先頭にあるEBR(Extended Boot Record)が次の位置を指し示す「単方向連結リスト」のデータ構造で実装されており、制限を超えた領域追加を可能にしています。
GPT(GUID Partition Table)は、MBRの制限を根本から解消するために作られた次世代の規格です。
GPTではアドレス管理が64ビットに拡張されています。理論上は最大9.4ZB(ゼタバイト)までのストレージに対応しているため、現在の数TB〜数十TBのSSD/HDDでも、容量を余すことなく丸ごと認識可能です。
GPTは複数のLBAを使って管理情報を配置します。標準仕様で128バイトのエントリが128個分用意されているため、最初から最大128個のプライマリパーティションをフラットに作成できます。「拡張・論理パーティション」といった複雑な階層構造を意識する必要はありません。
MBRはディスクの先頭1セクターだけで管理情報を保持しているため、破損すると全データへアクセスできなくなります。一方、GPTはディスクの「先頭(プライマリ)」と「末尾(バックアップ)」の2箇所に全く同じ管理情報を自動で記録しています。万が一の破損時にも末尾のバックアップから復旧できるため、高い安全性を備えています。
MBRとGPTの違いを理解する上で欠かせないのが、PCの基盤ファームウェアである「BIOS」と「UEFI」の違いです。これらは対応するパーティション規格やOSの起動プロセスが異なります。
.efi形式)を直接探して実行するという、洗練されたプロセスでOSを起動します。Windows 11のインストールおよび起動には、安全性を高めるシステム(セキュアブート)の有効化が絶対条件です。このセキュアブートは従来のBIOS(MBR)環境では動作せず、「UEFI(GPT)」環境が必須となります。そのため、Windows 11を導入するPCのシステムドライブは、必ずGPTでフォーマットされていなければなりません。
Linuxシステムにおけるディスクの識別名(デバイス名)は、MBRの構造に強い影響を受けます。
/dev/sda1 〜 /dev/sda4: プライマリおよび拡張パーティション用に予約/dev/sda5 以隔: 作成された順番に論理パーティションへ割り当て例えば、プライマリパーティションが1つしかない状態で論理パーティションを新規作成した場合、デバイス名は必ず /dev/sda5 になります。
論理パーティションが「ポインタによる数珠つなぎ」で管理されている性質上、途中のパーティションを削除・再構成すると以降のデバイス名が動的にズレてしまいます。 これにより、ブートローダー(GRUB)がOSカーネルを見失い、システムが起動しなくなるトラブル(GRUBレスキュー画面の発生など)に繋がりやすいため、MBRでのマルチブート運用には注意が必要です。GPTであれば、フラットに管理されるためこの問題を回避しやすくなります。
最後に、今回解説した各規格の仕様の違いを一覧表にまとめます。
| 項目 | MBR + BIOS(レガシー環境) | GPT + UEFI(現代の標準環境) |
| 最大認識容量 | 2TBまで | 実質制限なし(最大9.4ZB) |
| パーティション数 | プライマリ最大4つ(それ以上は拡張 / 論理) | プライマリ最大128個(拡張 / 論理は不要) |
| 管理情報の冗長性 | なし(先頭1箇所のみ。破損に弱い) | あり(ディスクの先頭と末尾に記録) |
| 操作画面・動作 | テキスト画面 / 16ビット動作 | GUI(マウス対応) / 32・64ビット動作 |
| OS起動方式 | MBRのブートコードを読み込む | ESP内のEFIファイルを直接実行する |
| Windows 11対応 | システムドライブとしては不可 | 必須要件 |
現在のPC環境、特に大容量のSSDやWindows 11を運用する場合は、「UEFI + GPT」の組み合わせを選択するのが必須かつ最適解です。しかし、レガシーなMBRやBIOSの仕組みを知ることは、古いシステムの保守やLinuxのニッチなトラブルシューティングにおいて今なお大きな価値を持ちます。
表面的な設定手順だけでなく、こうした低レイヤーの仕様とファームウェアの関係性を構造的に理解しておくことで、環境に合わせた適切なインフラ構築や、よりトラブルに強い正確なディスク管理が可能になります。
本記事を羅針盤として、日々のシステム設計や運用にぜひ役立ててください。
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